公開日： 2025.06.17
最終更新日：2025.06.17
ふと鏡を見たときにフェイスラインがぼやけていたり、スマートフォンの自撮りで二重あごが気になったりすることはありませんか？
そんな20代後半から感じ始める顎下のたるみは、あなた一人だけの悩みではありません。
「まだ若いからマッサージで大丈夫」「ダイエットすれば自然に消えるはず」と思っているなら注意が必要です。その油断こそが、たるみを深刻化させてしまう落とし穴かもしれないからです。
実は、20代後半からの顎下のたるみは、単なる脂肪の増加だけが原因ではないのです。
この記事では、なぜ20代後半から顎下のたるみが目立ち始めるのか、その隠れた原因を徹底的に解説します。まずはご自身のたるみタイプをセルフチェックし、原因を正しく理解することから始めましょう。
さらに、自宅でできるセルフケアの効果と限界、そして、本気で改善を目指すための美容医療について、効果、ダウンタイム、費用、リスクまでを網羅的に比較・解説します。
この記事を読めば、あなたを悩ませる顎下のたるみに対する正しい知識が身につき、数ある選択肢の中からご自身に最適な解決策を慎重に検討するための一歩を踏み出せるはずです。もう一人で悩まず、スッキリとしたフェイスラインを取り戻すための第一歩を、ここから始めましょう。
MET BEAUTY CLINIC 院長
山崎 俊
美容外科、形成外科
監修の山崎俊医師は、形成外科18年、美容外科10年以上の経験を持つ日本形成外科学会認定の「専門医」「指導医」です。「安全・確実」な治療を第一に、患者様一人ひとりに寄り添い、納得できる最適な施術をご提案します。
美容医療に関する疑問や不安をお持ちの方も、安心してこの記事をお読みいただけますと幸いです。
まずは、ご自身の顎下の状態を正確に把握することから始めましょう。以下の4つのチェックリストで、あなたのたるみの原因を探ってみてください。
「たるみは30代、40代からの悩み」と思われがちですが、その考えは非常に危険です。
20代後半は、肌のターニングポイントとも言える時期です。肌のハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンは、20代をピークに徐々に減少し始め、質も低下していきます。
この変化は、目に見えないところで静かに進行します。そのため、「まだ大丈夫」と思っているうちに、たるみの原因が蓄積し、30代に入ってから一気に表面化してしまうケースが少なくありません。
さらに、うっかりやりがちな生活習慣の乱れやスマートフォンの長時間利用などが、この変化を加速させることもあります。早期に原因を理解し、適切な対策を始めることが、未来の美しいフェイスラインを保つための鍵となるのです。
顎下のたるみは、単純に太ったからという理由だけで現れるわけではありません。ここでは、たるみを引き起こす5つの主な原因を、医学的な観点から詳しく解説します。
肌のハリと弾力は、真皮層に存在するコラーゲンとエラスチンという2つのタンパク質によって支えられています。コラーゲンは肌の構造を支える柱、エラスチンはそれらを繋ぎとめるゴムのような役割を果たしています。
しかし、これらの成分は20代をピークに、加齢とともに自然と減少し、質も劣化していきます。特に20代後半からはその減少が顕著になり始め、この肌内部の構造的な衰えが、重力に負けて皮膚が垂れ下がる「たるみ」の根本的な原因となります。
顎下は、もともと脂肪がつきやすい部位です。体重の増加はもちろん、加齢によって基礎代謝が低下すると、消費しきれなかったエネルギーが脂肪として蓄積されやすくなります。 この顎下の脂肪は「二重あご」の直接的な原因となり、その重みで皮膚をさらに下へと引っ張り、たるみを悪化させる悪循環を生み出します。一度ついてしまうと落ちにくいのが特徴で、ダイエットをしてもなかなか解消されないケースも少なくありません。
顔には約30種類以上の表情筋があり、皮膚や脂肪を支える土台の役割を担っています。しかし、日常生活では全体の3割程度しか使われていないと言われています。特に、日本語は他の言語に比べて口の動きが少ないため、意識しないと表情筋は衰えがちです。
また、顎下のたるみに大きく関わっているのが「舌筋（ぜっきん）」です。舌の付け根にあるこの筋肉群が衰えると、舌の位置が下がり、顎下の組織を内側から圧迫してしまいます。これが、フェイスラインのもたつきや二重あごに繋がるのです。
長時間のデスクワークやスマートフォンの使用は、無意識のうちに猫背や、首が前に突き出た「スマホ首（ストレートネック）」といった悪い姿勢を招きます。
この姿勢は、首から肩にかけての筋肉を緊張させ、血行不良を引き起こします。血行が悪くなると、顔周りに老廃物が溜まりやすくなり、むくみやたるみの原因になります。さらに、頭の重さ（約4〜6kg）を首だけで支えることになり、顎下の皮膚や筋肉に常に負担がかかり、たるみを助長してしまうのです。
塩分の多い食事やアルコールの摂取、睡眠不足などは、体内の水分バランスを崩し、「むくみ」を引き起こします。顔、特に顎下はむくみが出やすい部位であり、一時的なものだと軽視していると、慢性化してたるみとして定着してしまうことがあります。
また、ストレスや集中している時に無意識に行っている「食いしばり」や「歯ぎしり」も要注意です。顎周りの筋肉（咬筋）が過度に緊張し、エラが張って見えるだけでなく、首周りの筋肉も硬直し、リンパの流れを阻害します。リンパの流れが滞ると、老廃物が排出されずに溜まり、むくみやたるみを引き起こす原因となります。
原因がわかったところで、まずは自宅でできるセルフケアから始めてみましょう。きちんとしたケアをコツコツ継続することで、軽度のたるみ改善や今後の予防に繋がります。
しかし、セルフケアは万能ではないため、その効果と限界を正しく理解することも重要です。
筋肉の衰えが原因の場合、トレーニングで内側からアプローチすることが有効です。
リンパの流れを促し、溜まった老廃物を排出することで、むくみによるたるみをケアします。
たるみを悪化させないためには、日々の習慣を見直すことが不可欠です。
セルフケアは、むくみや筋肉の衰えが原因の軽度のたるみに対しては、予防や現状維持の効果が期待できます。
しかし、以下の場合はセルフケアだけでの改善は困難です。
これらの原因にアプローチし、根本的な改善を目指すのであれば、美容医療が有効な選択肢となります。
セルフケアを続けても変化が見られない、より確実でスピーディーな効果を求めている、という時が、美容医療を検討するタイミングと言えるでしょう。
顎下のたるみを解消したいけれど、どの美容医療を選べば良いのかわからない。
ここでは、そんなあなたのために顎下のたるみ治療で用いられる主要な美容医療を、「切らない治療」と「外科的治療」に分けてご紹介します。
それぞれの特徴、メリット、そして必ず理解しておくべきデメリットやリスクを比較検討し、あなたに最適な治療法を見つけましょう。
切らない治療は、比較的手軽に受けられ、ダウンタイムが短いのが特徴です。
HIFUは、高密度焦点式超音波の熱エネルギーを肌の深層にあるSMAS筋膜に照射し、強力に引き締める治療法です。
【メリット】
・ダウンタイムがほとんどなく、施術後すぐに日常生活に戻れます。
・肌の土台から引き締めるため、リフトアップ効果が高いです。
【デメリット・リスク】
・施術中に骨に響くような痛みを感じることがあります。
・まれに、やけどや神経損傷によるしびれ・麻痺のリスクがあります。
・脂肪が少ない方が受けると、頬がこけて見える可能性もあります。
高周波（RF）は、熱エネルギーで皮膚の真皮層を刺激し、肌のハリと弾力の元となるコラーゲンの生成を促す治療法です。
【メリット】
・痛みが少なく、温かい感覚でリラックスして受けられます。
・ダウンタイムもほとんどありません。
【デメリット・リスク】
・リフトアップ効果はHIFUに比べてマイルドです。
・効果を維持するためには継続的な治療が必要です。
・まれに、やけどや赤みが続くことがあります。
糸リフトは、医療用の特殊な糸を皮下に挿入し、たるんだ皮膚を物理的に引き上げる治療法です。挿入された糸の周りではコラーゲンの生成も促進されます。
【メリット】
・施術直後からリフトアップ効果を実感しやすいです。
・切開が不要なため、外科手術に抵抗がある方におすすめです。
【デメリット・リスク】
・施術後に腫れ、内出血、痛み、ひきつれ感が数日から数週間続くことがあります。
・まれに、糸が皮膚から露出する、感染を起こす、左右差が生じるなどのリスクがあります。
・効果の持続期間は糸の種類や個人差によって異なります。
脂肪溶解注射は、脂肪を溶かす薬剤を直接注射することで、部分的な脂肪の減少を目指す治療法です。
【メリット】
・注射のみで手軽に受けられ、比較的ダウンタイムが短いです。
【デメリット・リスク】
・複数回の施術が必要なことが多く、1回での効果は限定的です。
・注入後に強い腫れ、痛み、内出血、熱感が出ることがあります。
・まれにしこりが残ったり、アレルギー反応を起こしたりする可能性があります。
・効果の現れ方には個人差が大きいです。
外科的治療は、より確実で長期的な効果を求める方におすすめです。
脂肪吸引は、カニューレという細い管を使って皮下脂肪を直接吸引する外科手術です。二重あごの原因が脂肪である場合に特に有効です。
【メリット】
・脂肪細胞自体を減らすため、効果が確実でリバウンドしにくいです。
【デメリット・リスク】
・術後の強い痛み、腫れ、内出血は避けられません。完成までに3〜6ヶ月かかります。
・皮膚が凸凹になる、たるみが残る、左右差が出る、感覚が鈍くなるなどのリスクがあります。
・ごくまれに、脂肪塞栓症などの重篤な合併症が起こる可能性も報告されています。
ペリカンリフトは、顎下を切開し、たるんだ首の筋肉（広頚筋）を中央で縫い寄せる手術です。特に首の縦ジワや筋肉のたるみが原因の二重あごに効果的です。
【メリット】
・筋肉のゆるみという根本原因にアプローチするため、強力で長期的な効果が期待できます。
【デメリット・リスク】
・顎の下に切開創が残ります（ただし、目立ちにくい場所です）。
・術後の腫れや痛みが長引くことがあります。
・感染や血腫、神経損傷による口元の麻痺やひきつれなどのリスクを伴います。
切開リフトは、耳周りなどを切開し、皮膚とSMAS筋膜を引き上げ、余った皮膚を切除する手術です。たるみ治療の中で最も強力な効果が期待でき、広範囲のたるみに対応します。
【メリット】
・たるみ治療の中で最も効果が高く、効果の持続期間も10年単位と長いです。
【デメリット・リスク】
・侵襲が大きく、ダウンタイムが最も長くなります。
・傷跡、感染、血腫、顔面神経麻痺による表情の左右差、皮膚の壊死、脱毛など、他の治療よりも重篤な合併症のリスクが高まります。
顎下のたるみ治療を検討する上で、「オーダーメイド治療」や「コンビネーション治療」という考え方は非常に重要です。
これまで見てきたように、顎下のたるみは「脂肪」「皮膚」「筋肉」といった複数の要因が、人それぞれ異なるバランスで組み合わさって生じています。脂肪が多い人、皮膚のたるみが強い人、筋肉のゆるみが目立つ人では、最適なアプローチは全く異なります。
そのため、一つの治療法だけでは十分な効果が得られないケースも少なくありません。例えば、以下のような組み合わせが考えられます。
このように、複数の治療法を組み合わせることで、より複合的な原因にアプローチし、満足度の高い結果を目指すのがコンビネーション治療の考え方です。
どの治療法が、あるいはどの治療法の組み合わせが自分に最適なのかを判断するには、医師による正確な診断が不可欠です。
経験豊富な医師は、あなたの顎下の状態を正確に見極め、様々な選択肢の中から最適な治療計画を提案してくれます。一つの治療法を強く勧めるのではなく、あなたの悩みと状態に合わせて複数の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを丁寧に説明してくれる医師こそ、信頼できるパートナーと言えるでしょう。
最後に、顎下のたるみ治療で後悔しないために、クリニックを選ぶ際にチェックすべき5つの重要なポイントをご紹介します。
あなたの悩みや理想の仕上がりイメージを、時間をかけてじっくりと聞いてくれるクリニックを選びましょう。治療法のメリットだけでなく、デメリットやリスク、考えられるすべての副作用について正直に説明してくれるかどうかが重要です。カウンセラー任せにせず、必ず医師が直接診察し、説明してくれるクリニックが理想です。
顎下は、神経や血管が集中するデリケートな部位です。担当する医師が、顔周りの解剖学に精通しているか、希望する施術の経験が豊富であるかを確認しましょう。
日本形成外科学会や日本美容外科学会（JSAS/JSAPS）などの専門医資格は、医師の技術レベルを測る一つの客観的な目安となります。
クリニックのウェブサイトやSNSで、症例写真を必ず確認しましょう。自分と似たような悩みを持つ人の症例を見て、その仕上がりが自分の理想と合っているかを確認することが大切です。様々な角度から撮影された、加工されていない写真が多数掲載されているクリニックは信頼性が高いと言えます。
提示された見積もりに、施術代のほか、麻酔代、薬代、検診代などがすべて含まれているかを確認しましょう。「追加料金は一切かからない」と明言してくれるクリニックは安心です。また、術後に起こりうる合併症やリスクについて、隠さず丁寧に説明してくれる誠実さも重要な判断基準です。
施術後の経過観察や、万が一トラブルが起きた際の対応など、アフターケア体制が整っているかを確認しましょう。術後の検診が無料か、緊急時の連絡先は確保されているか、保証制度はあるかなど、施術が終わった後も安心して任せられるクリニックを選びましょう。
この記事を読んで、ご自身のたるみの原因や、様々な治療法の選択肢について理解が深まったことと思います。しかし、どの治療法が本当に自分に合っているのか、最終的な判断はご自身だけでは難しいものです。
後悔のない選択をするために最も重要なのは、信頼できる医療機関で専門医による正確な診断を受けることです。できれば一つのクリニックだけでなく、複数のクリニックでカウンセリングを受け、それぞれの医師の見解や提案を比較検討することを強くお勧めします。
多くのクリニックでは、カウンセリングを無料で実施しています。「まずは話だけ聞いてみたい」「自分にはどの治療が合うのか専門家の意見を聞きたい」という目的で、気軽に足を運んでみましょう。専門家との対話を通じて、あなたにとって最善の道がきっと見つかるはずです。
20代後半から始まる顎下のたるみは、加齢、脂肪、筋肉の衰え、姿勢、むくみなど、様々な原因が複雑に絡み合って生じます。セルフケアによる予防や軽度の改善も大切ですが、根本的な解決を目指すなら、ご自身の原因に合った美容医療を選択することが最も効果的なアプローチです。
HIFUのような手軽な治療から、切開を伴う外科手術まで、選択肢は多岐にわたります。大切なのは、一つの情報や治療法に偏らず、それぞれのメリット・デメリット、そしてリスクを正しく理解することです。
そして何よりも、信頼できる医師のもとで、自分に最適な治療法を見つけることが重要です。そのためには、複数の専門医療機関でカウンセリングを受け、多角的な視点から情報を集めて比較検討することが不可欠です。慎重なクリニック選びと医師との対話を通じて、自信の持てるシャープなフェイスラインを手に入れてください。
